From:林 克典

地域密着ビジネスは、歴史的に見ても大きな転換点に差し掛かっています。現状のままでは、多くの地域密着ビジネスは存続することができません。どのような転換点なのか?どうすればいいのか?を提言します。興味のある方は、このまま読み進めてください。

日本全国で起こっている地域の衰退

一般的に地域密着というのは【地縁】です。地縁とは、地域に住んでいる人達の過去から現在まで続く人間関係です。その地縁をベースにしたビジネスが地域密着ビジネスです。この地縁というのが、地方でもどんどん希薄になってきています。

私が100人以上の地域密着ビジネスの経営者にインタビューしたところ、8割以上の経営者が最盛期(高度経済成長期またはバブル期)に比べて売上が半分になっていると答えています。これは地縁が希薄になった証拠です。

私が幼かった昭和50年代前半は、ほぼ地縁で買い物をしていた記憶があります。近所の八百屋・魚屋・肉屋・豆腐屋・酒屋に、よくお使いに行っていました。定期的に使うものは、注文しなくても持たされていました。お店の人が覚えているんですね。

昭和50年代中盤になると、近所に大きなスーパーマーケットが出来ました。この影響で、急速に町のお店が急速に倒産・廃業に追い込まれていました。今残っているのは、魚屋と肉屋だけです。ちなみにどの地域でも、魚屋と肉屋は残っている所が多いです。これは、高単価の商品を買ってくれるお得意さんが多いからです。店頭に並ぶ前に、お得意に連絡をすると一定の割合で売れるようです。

大きなスーパーマーケットは、他の地域からの進出です。その後、イオンの郊外型ショッピングモールができ、町の商店街から人通りが消えました。

地域の衰退は止められない

私が住んでいる富山県高岡市も、平成30年の予算が40億円足りないというニュースが年末に大々的に報道されました。結果、市民会館と市民体育館の耐震補強工事や立て替えが凍結となっています。かつての夕張市のように、少なくない地方自治体が破産すると予想されます。だとしても、政府は救済するポーズはすると思われますが救済することはありません。実際、救済できないのです。

なぜならば、地域に投資をしてもそれに見合った税収が上がらなくなっているからです。

戦後復興期や高度経済成長期は、インフラやモノが不足していました。その時に政府が行ったことは、インフラ整備や雇用を生むために公共工事の大量発注、そして信用ある消費者を作るために公務員を大量に雇用しました。またインフラ産業や金融業などを保護し、高給取りのサラリーマンを大量に増やしました。そしてそれらの方々を中心に、融資をして住宅建築を促進しました。これはひとえに地域経済を活性化させるためにです。結果、地域経済が発展して税収も上がりました。

インフラやモノが【ない】状態から【ある】状態にすれば、経済が成長します。でもある一定の【ある】状態に到達してしまえば、その後いくら増やしたとしても経済が成長することはありません。

今、日本全国の状態はインフラやモノは必要以上に【ある】状態です。なのでいくら地域に投資をしても、経済成長はしないのです。

地域経済は政治体制と密接な関わりがある

これからの地域経済や地域密着ビジネスの方向性を見通すには、今までとこれからの政治体制をざっくり予測する必要があります。私は地域経済や政治の専門家ではないので、ざっくりとした見解をお話しします。参考になれば幸いです。

今の政治体制は明治時代から中央集権です。中央集権とは、中央政府が地方自治体を政治・行政・財政全般に渡り統制している体制です。中央集権とは、自治を大幅に制限する精度です。20世紀初頭から、多くの現代国家は中央集権を目指してきました。恐らく国家内部を統制して、諸外国との戦いに備えるためです。日本の戦後は、中央集権だからこそ早期の復興、高度経済成長を実現することが出来たと考えられます。

この時、中央政府に作られたのが今の地方自治体であり地域です。この中央政府により作られた地域が、当初目指していた頂上にたどり着いたので、頂上から降りるように衰退に向かっていっているのです。

高度経済成長の終わりと共に、東京集中の弊害・地方分権が叫ばれ始めました。それは頂上付近から首都東京一極に集中した弊害と、その歪みが地方に深刻な影響を与えてきたからです。東京の更なる成長を支えるために、より東京に集中させて、地方がその犠牲になるという現象が生まれて来たからです。東京オリンピックが終わった後には、急速に地方分権が進むと思われます。あらゆる分野の規制緩和、国会議員の定数削減や国家公務員の削減などはその準備と考えられます。

日本の近代史をザックリ見ていくと、政府は常に国力を最大化する方向性で動いています。今までは、地域に投資をすることが国力を大きくしてきました。これからは、国防産業であったり、AIであったり、海外市場の開拓であったり、外に向かっていくことが予想されます。

経営者として、常に国が世界がどういう方向に動いているか?を見ていくことはとても重要なことです。

地域密着ビジネスの未来予想図

江戸時代以前は、日本を含め多くの国が封建制です。封建制とは、上位の君主が臣下に対して、その領地支配を認め、爵位を与え、臣従を義務づける社会制度です。つまり、政府に従うならば領土の自治を認める制度です。

これからの日本の方向性は、地方分権です。地方分権とは、地方自治体が行政・財務を自らの意思で行うことです。イメージとして封建制とまではいかなくても、江戸時代の藩から国防を抜いたような感じです。私の住んでいる富山県も、かつては半分は加賀100万石、半分は富山藩で共に前田家の御領地でした。米所ではありますが、冬は雪に閉ざされ農作物はほぼ採れません。米の取れ高は40~60万くらいです。そこを先人達の努力により、加賀友禅や輪島塗など他国に尊敬され、また高く売れる産業を多く興し、100万石の大国になりました。

注目すべきは、自らの努力で切り開いたということです。元々取れている米だけに頼れば、50万石でした。事業でいえば売上半分です。冒頭でお話した、今の地域密着ビジネスが売上半分になっているのと偶然か必然か重なり合いました。

今の地域密着ビジネスは、加賀100万石になる前の50万石の状態とよく似ています。今までは、政府のテコ入れで売上が大きくなっていただけで、本来のポテンシャルが今の状態なのです。今の状況にプラス50万石欲しい場合は、自らの努力でつかみ取らなければいけません。これだけはハッキリ言えます。

今でも日本のほとんどの事業(ビジネス)は地域密着型

地域密着ビジネスといえば、田舎のビジネスといったイメージを抱かれるかもしれません。でもこれは誤りです。東京でもほとんどのビジネスは地域密着ビジネスです。どういうことかというと、商圏を持つビジネスはすべて地域密着型です。地域密着型でないビジネスは、ネット完結するビジネス以外思いつきません。グローバル企業でも、進出した地域に販売拠点や生産拠点を置く場合、地域密着型にせざるを得ないのです。

ずっと地域に根ざしているビジネスと、その地域外から進出してきたビジネスも共に地域密着ビジネスを行っています。違いは【地縁】があるかどうか?です。地域外から進出してきたビジネスにとって地縁は参入障壁です。今も地域に君臨しているビジネスは、政治家や有力者や有力団体とのコネクションがとても強く、その牙城を崩すことは容易ではありません。

その一方で、イオンなど地域外から来たビジネスに、やられ続けているのが中小零細ビジネスです。特に有力なコネクションがない場合、あっさりやられてしまいます。なぜでしょう?私はやられる原因はマーティングだと考えています。

地域密着ビジネスに必須となったマーケティングとは?

マーケティングとは、あなたの存在に気付き、興味を持たせ、欲しくさせる(または必要だと思わせる)一連の行動です。

地域外から来たビジネスは、地縁がないのでマーケティングをせざるを得ません。地域に住んでいる人から見れば、単純に選択肢が増えます。今までは一択だったものが、二択になれば当然売上は下がります。そして住んでいる人も引っ越したり、引っ越してきたり、割と固定的だった地域が流動的になっています。

あなたのビジネスの存在は、昔から住んでいる人は知っていますが、新しく越してきた人は知りません。また、少子高齢化社会になり地域全体の人口は減ってきています。売上を維持または上げようとする場合は、隣の地域まで商圏を広げなければいけません。その時に必要になるのが、マーケティングなのです。今後の地域密着ビジネスは、マーケティングができるかどうか?で成否が決まります。

これはある意味、事業者にとってもお客様にとってもチャンスです!

今まで仕方なく売っていたり、買っていたモノの選択肢が広がり、本当に必要なモノを売買できるようになるからです。その過程で、趣味嗜好があった人達同士の人間関係が形成され、あらたな地域や商圏が作られていくのではないかと考えています。

新たな地域や商圏を作るためにも、地域密着ビジネスにマーケティングは必須となります!

まとめ

今現在は、政治的にも地域密着ビジネス的にも、大きな転換地点にあることはお分かり頂けましたか?このような転換点を経験できる我々は幸せです。今まで得ていたモノを手放す機会も増えるかもしれませんが、それ以上に大きなチャンスも至る所にあります。私はこのチャンスを活かし、残すべき地域密着ビジネスにマーケティングを伝え、新たな商圏や可能性を掴むお手伝いをしようと心に決めています。いまの地域では飽和しているモノでも、近隣地域では新たな商品・サービスの選択肢として受け入れられる可能性は大いにあります。

また、地域密着ビジネスが活性化することにより、地方自治体全体が活性化します。もっといえば、地域密着ビジネスが繁栄しなければ地方自治体は、どんどん財政が苦しくなり、あらゆる公共サービスがストップしてしまう事態が近い将来必ず起こります。その意味では経営者やビジネスパーソンの責任は、とても重大です。またそれだけやり甲斐のある時代に生きているということでもあります。

力をあわせて新しく素晴らしい地域を作っていきましょう!

現状のままでは、多くの地域密着ビジネスは存続することができません。どのような転換点なのか?どうすればいいのか?を提言します
[Genjō no mamade wa, ōku no chiiki mitchaku bijinesu wa sonzoku suru koto ga dekimasen.Do no yōna tenkan-ten’na no ka? Dōsureba ī no ka? O teigen shimasu]
In it stands, many of the community-based business will not be able to survive. What kind of turning point of the? What should I do? You recommended the